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- レシピ紹介 -

第三回 カレイの琥珀揚げ


 先回、ご紹介致しました一番だし(今後は単に“出し”と表現させて頂きます)を利用した魚料理を一つお試しあれ。

 魚は白身の軽いものか、えび、いか等が合いますが、私はカレイかアイナメの骨付きをお奨めいたします。
魚はまず下ごしらえでうろこを除き、えらと内臓も取り除いて血だまりをきれいに洗いとり、うすい塩水でよく洗い、きれいなふきんで拭いて水気をとります。


これを大きければ適当な大きさに切り、皮に体裁よく切り込みを入れます。これを飾り包丁と呼びますが、この作業の意味は単に飾りのみならず。魚の皮と身は加熱したとき収縮率の違いがあります。その差により皮が醜く破れてしまったり、はがれてしまったりします。それを防ぐのと、表面積を大きくすることで火の通りが良くなり味のりもよくなります。また、油に接する面も当然増えるので香ばしい部分も増えてより美味しく仕上がります。このような訳で“飾り包丁”という作業は、しなくてもいいという様なことではなく、是非行っていただきたい仕事でございます。


 これで魚の下ごしらえは完了ですが、次に出しを引いていただいてその出し汁「6~7」に対して酒が「0,5」味醂みりんが「1強(1,2位)」薄口醤油「1」酢を「0,3位」※数字は割合ですのでお玉で仮に出し汁を6~7杯すくったら、酒がお玉半分、味醂が1杯と2/10杯位、薄口醤油がい1杯に酢が3/10杯位ということです。これをお鍋に入れて火にかけ、沸騰直前に水でといた片栗粉、又は葛粉くずこでとろみをつけてください。このとろみ加減と、出しの味加減はお好みで調整してください。出しの割合はあくまで目安ですので酢の強いのがお好きな方なら酢を多く、又甘いのが嫌いな方は味醂を少なめに入れてください・・・等など各々お好みに合わせて調整してください。ただ、調味料の味醂は必ず「本みりん」を、薄口醤油は酒屋さんでお問い合わせしてくださればたいてい手に入ると思いますので是非薄口醤油をご使用ください。
 さて、仕上げに入りたいと思います。先ほどの魚を油で揚げますが、油の温度は180℃少し高めの温度で揚げます。衣は片栗粉か吉野葛を麺棒かすりこぎ等で粉にして魚にまぶし、はけで余分な粉をはたき落としてください。


 油にネタを入れるときは、天ぷらも唐揚もフライも全て同様に強火にします。これは揚げもの全てのポイントでほんの一部の例外の調理を除いて鉄則中の鉄則です。その理由は、ネタの大きさ、温度にもよりますが、一つネタを入れる毎に5℃程温度が下がります。従って下がった温度を上げる必要があり、その為に強火でなければなりません。そして油の入った鍋が俗に海水浴等でいう処の”芋洗い”状態になる様なことではいけません。油の表面にすきまがある程度ある様にネタを入れすぎない様注意して下さい。ついつい一度にたくさん揚げたくなるのですが、それをしないのが揚げ物上手になるための一大秘訣とでも申すべきコツなのです。


 料理のコツというのは実は非常に細かいことのつみ重ねにあると私は思っています。基本に忠実である事が、実は重要で”油に沢山ネタを入れない”なんていう事は実は料理に興味を持つ方ならほとんどの人が耳にした事のあるコツだと思いますが意外と”こんな事位は”・・・という様な感じで実行していない方が意外に多い様に思われます。
 私がレシピ紹介に書きます事は実は我々の仕事の面倒な部分を出来るだけのぞいた本当に大切な処だけを御紹介していますので、是非私の説明以上の仕事はされても以下の仕事をされる様な事、つまり書いてある作業を省くようなことは避けて頂きたいと思います。

 話が大分それましたが、以上の様な注意点に留意して魚を揚げましたら、うすい色の大ぶりの器に盛り先ほどのあんを適量掛けて、すり生姜のしぼり汁を少量かけ、スダチのスライス、三つ葉のざく切り等天盛りをして完成です。


 作業の手順として色々工夫されて魚の揚げ上がりに合わせてあんを温めて下さい。 因みにこの料理を北大路魯山人は「琥珀揚げ」と銘名し、よく食した様です。

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