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- レシピ紹介 -

第八回 ワラビのアク抜き

 前回の筍に続きまして、今回はワラビのアク抜き下ごしらえについて記させて頂きたいと思います。
 と申しますのも、ワラビを貰っても「どうしていいか分からない」あるいは「重曹で湯がけばいいよね?」等と言われる方が多いのと、私の最も好きな食材の一つであるワラビを出来るだけ美味しく召し上がって頂きたいからです。

 重曹を利用するのも方法の一つではありますが、柔らかくなり過ぎる難があります。最適なアク抜きの助材は藁灰(わらばい)でしょう。
 入手するのに少々困難があるかもしれませんが、藁を缶のような物の中で燃やして灰にすれば良いのですし、気の利いた八百屋さんならワラビをアク抜きしたいと言えば、用意してくれるかもしれません。

 ワラビの根本の方から少しづつ爪を立ててみて、爪が楽に立つ様になった近辺を目安にその根本を切り落とします。
 要は固いところを除く作業です。固いところが無くなったら後は長さを揃えて食べやすい長さに切ります(順番が前後しましたが最初にまず良く洗って下さい)。
 いづれにしましても藁灰が用意出来ましたらもうアク抜きは半分位成功した様なものです。

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 それをもう一度さっと洗ってザルで水を良く切ってから大きめのボウルに移し、藁灰をたっぷりまぶします。その間に材料のワラビがすっぽりと入って余裕がある様な鍋で8~9分目位の湯を沸かし、沸騰したところで10円玉を3~5枚入れて(これは色を良く発色させる効果を得る為です)ワラビを灰がまぶさったまま投入します。

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 そして一旦静まった沸騰が再び起こったら固そうな一本を取り出して口で噛んでみて(この時は半端なく苦いです)シャキシャキ感を確かめて良ければ下にボールを受けたザルにザーッと流し入れ、すぐにうちわ又は扇風機等で風を送って冷まします。一方ボールに受けたゆで汁もそのボールよりも大きなボールに水又は氷水を入れて、そこに浮かべて冷まします。その両方が完全に冷めたらその水にワラビを入れて冷暗所(冷蔵庫も可)で一晩おきます。

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 そして明くる日よく水でさらします(この時はまだアクは残っているので相当苦いです)。水を取り替えしたら丸一昼夜置いて下さい(出来れば流水で)。そして食べてみてアクの残り具合を確認して下さい。
 この時のアク(苦味)の残り加減は人それぞれのお好みです。ですので、好きなところで水でさらすのを止めれば良いわけで苦いのはとことんだめな方はもう一晩さらして下さい。

 こうしてアク抜きしたワラビは色は青々として歯ごたえはシャキシャキし、身はぬめりがたっぷり、味のなさそうな旨みがたっぷりで相当に洒落た食材として我々料理人の前に登場します。
 これをドラマに例えるならば、我々料理人が監督とすれば、ワラビ君は役者としては主役に据えたならば物語の最後になって「ああ、この人が正に主役であったかと思わせる様な名演技をみせる渋い俳優で、脇にキャスティングすれば助演男優賞間違いなしでしょうの存在感を見せ付けることでしょう。
 これを私が料理するなら彼が一番引き立つ一人舞台、お浸しに据えます。酢醤油をかけて鰹節、または一番出しに酒、薄口醤油で味付けした出しを再度わかして追い鰹をしてこしてすぐに冷ましてワラビを漬け込みます。1時間も経つとすこぶるつきの美味なる一品が出来上がります。
 是非お越しあれ。

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