- 海山美味 よもやま話 -
第四回 盛夏の美味
ふー、暑い熱いアツイ!!
声にしてみたところでこの暑さ、和らぐもんでもない事は「先刻承知」なのである。
が、ついつい口をついて出てくる。言うまい、言うまい。と心の中で想ってみても体が熱がってる事を口が代弁しているのだろうか。
熱っちーな~~~も~~~う、ふぅ・・・とやってしまう。
人間の性なのだろう。
こんな時には旨いもんでも喰って、精をバッチリつけねーとやってらんねーぜ!!
てな訳で旨いもんの話である。
盛夏の美味!!と言ってすぐにピーンと来る物はっつーとやっぱり清流を想わせる活きのいい鮎!!
梅肉でさっぱりと口に涼しい鱧!!そして滋養たっぷり、香ばしい香が食欲をそそるうなぎ!!
この辺りが和食の王道と言った処か。
然し旨い物は実はマダマダあるのだ。人は良く夏は旨い物が無いでしょう?と仰るのですが、いやいやそんな事はありません。春夏秋冬、日本には旨い物がたくさんあるのです。夏だからこそ旨い物というのもあるのです。夏こその料理方法もあるのです。
例えばいかそうめん。
活きの良い剣先いかヤリ、するめいかでも新鮮なら結構。手際良くさばいたいかの身を細長く、0.5mm位の幅でスッスッスと包丁し、生姜を効かせた醤油を出汁で割って酒をほんの少々。そのタレを良く良く冷やして硝子か何か涼しげな鉢状の器もよくよく冷やして、その器へタレを入れ、そうめん状のイカをそっと並べ入れ、小口の小葱とすり胡麻少々、もみのりと茗荷等お好みの薬味を入れていただきます。やや辛口の純米酒を冷やして合わせると体がすーっと涼やかになって見た目にも食べても涼味満点!
生姜と効かせてあるので体や胃腸を冷やし過ぎるのを防いでくれる事もあり、食欲を刺激してくれる効果も期待できると想います。
次にタコの梅肉サラダ。
梅肉は文字通り梅干しの肉の事で梅干しの実の身を種からはずして細かくつぶしたものです。これにオリーブオイルの良い物を混ぜ合わせて、玉葱の微塵切り、わさびを少々、味のアクセントに混ぜ合わせてドレッシングとします。
野菜は生でおいしい物なら何でもお好みで良いと想いますが、胡瓜は歯応えや香りで是非あった方がいいと想います。レタスや大根、人参、セロリ、トマト等も良いですが、トマトは味が強く、梅の味はかき消される様です。ベビーリーフ等用意しますと、可愛い仕上がりになるでしょう。
肝心のタコですが、私は水タコの活き活きを用いるのが良一と想います。薄い、膜状の皮をのぞいて吸盤と身を別々にして食べよくカットして野菜の上に盛り、ドレッシングをかけてベビーリーフを散らして下さい。
このタコサラダはキンキンに冷えた白ワインか、ビールも良いと想います。
夏に不足しがちなビタミンCもとれますし、何といってもイカやタコはタウリンが豊富とされてますので梅と合わせて疲労回復に一役買ってくれる事でしょう。
冷たい料理ばかりでは胃腸が疲れますので、最後に新さんまをおすすめしましょう。
大体例年7月中過ぎ頃から北方から新さんまが届きます。今は当たり前の航空便です。出始めは高価でしかもここ2~3年は出始めは細くてしょぼくて脂がない鮮度だけのものです。然し、8月も中頃になりますと多分丸々太って脂のりのりとなってくれるはずです。(この文を記しているのは7/31です。)
まだまだ出盛りとは言えず、そこそこ高価ですが出始めからすると1/3位で価で入手可能と想われます。大抵1尾\1,200位を予想しております(当店売価)。一人でと言うより2~3人で食べてもよい程の大物で大変な御馳走といえます。刺身ももちろん最高ですが、塩焼きにするとおそうざいのさんまの塩焼きとは同じ魚と想えぬ程の差を感じ、驚嘆する旨さです。是非とも夏バテ予防に動物性たんぱく質を・・・。
因みに当店ではさんまを刺身にした後、ハラワタを加工して提供しております。
これがまた左党にはたまらぬ旨さで、さんまを塩焼きにして食べるハラワタとはまた一味違って酒の肴にはもってこいとの評判です。ということで塩焼もお刺身も盛夏のさんまは絶品!!と申しあげておきましょう。
実は他にもまだまだ旨い物は沢山ありますが、それは又別の機会にお話させて頂きます。
当店はお盆中は営業(定休の8/15木曜も返上)致します。その間いかそうめんとタコサラダ、新さんまは沢山ご用意しておきますが、万が一に品切れの時は何卒御容赦の程よろしくお願い申し上げます。
文末になりましたが、盛夏の候、お客様皆々様におかれましては、御自愛なされまして、くれぐれも熱中症等々掛かりませぬ様、美味しい物に舌鼓タンタンと打たれまして日々健やかにお過ごし召されます様、心よりお祈り申し上げまして、お仕舞いとさせて頂きます。
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